くらし設計室 ARCHITECT OFFICE

アールトとライト

ポートランドへの旅のもう一つの目的は、建築家アルヴァ・アールトとフランク・ロイド・ライトの建築を体感すること。

ポートランドから車で1時間ほど行った丘の上にアルヴァ・アールトが設計したマウントエンジェル修道院図書館がある。

入口を入ると天井高が抑えられたエントランスホール・木のルーバー天井と丸いトップライトが印象的なカウンターゲートがある。
2つの空間はその奥にある閲覧室をより際立たせるための暗闇の空間でもあります。


そして、光が降り注ぐ閲覧室へ。
柔らかな光に包まれながら本を読む‥
光と闇の対比が美しい、とても静かで心が落ち着く場所です。

斜面に建っているので、2階から1階へはスキップフロアの閲覧室を通って下りる構成となっています。


閲覧室の照明もアールトのオリジナル。

書架を抜けた先にある閲覧ブースのハイサイドライト。
すべての書架の高さは、このハイサイドライトの光を空間全体に行き渡らせるため、
天井より低い高さに抑えられている。

そして扉の取手もアールトのオリジナル。

エントランスホールの隣には、小さなホールがありました。
波打つ音の反射板の壁、放射状に広がる格子天井、オリジナルの照明‥
柔らかく包み込まれるような優しい空間です。

そして次はフランク・ロイド・ライトが設計した住宅:The Gordon Houseへ。


自然と建築との融合をテーマとしたライトの建築には、
内部と外部を一体化するような工夫が溢れている。
空とつながる開口が開けられた庇。

内部から外部へとつづく架構、天井まで設けられた開口部。
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造作ソファ上の窓には日本の欄間を思わせる幾何学模様をくり抜いた板材がはめこまれ、外部とのつながりを感じながらも、室内に心地よい光を取り込んでいる。

トップライトからの光に溢れるキッチン。

天井高さを2.1mに抑えた寝室など、
随所に小さくても広がりを感じるための工夫が溢れている建築でした。

2つの建築を通して、光の質や量を考えプランをつくる重要性を改めて感じました。
今後も周辺環境との関係を考え、人間の悲しみや喜びに自然と寄り添えるよう、
適切で誠実に建築と向き合っていきたいと思います。

2015年10月21日 │

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